トヨタ自動車が、米国における完成車の陸上輸送に水素燃料電池トラックを活用する方針を示した。製造から流通までを含むサプライチェーン全体での脱炭素化を進める一環であり、物流分野でも次世代燃料技術の導入を本格化させる動きとみられる。
水素燃料電池トラックは、車載した燃料電池で水素と酸素を反応させて電力を生み出し、モーターで走行する仕組みである。走行時に排出されるのは水のみで、二酸化炭素を出さない点が特徴とされる。長距離・大型輸送ではディーゼル車に代わる選択肢として期待されており、温室効果ガス削減への寄与が見込まれている。
米国はトヨタにとって最大級の市場の一つであり、港湾や工場から販売店までの完成車輸送は規模が大きい。こうした大量輸送の動力源を水素に置き換えることは、同社が掲げるカーボンニュートラル目標の達成に向けて、製造工程だけでなく物流面の排出削減にも踏み込む取り組みとなる。
自動車業界では電動化と並行して、水素を次世代エネルギーの軸の一つに据える動きが広がっている。トヨタは乗用車の「ミライ」をはじめ燃料電池車の開発を続けてきたほか、商用車領域でも他社との協業を進めている。今回の輸送用途への展開は、水素インフラの実需を生み出し、関連サプライチェーンの整備にもつながる可能性がある。
編集部としては、商用車分野での水素活用が普及するかは、車両コスト、水素の供給網、価格競争力といった要素に左右されるとみている。