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欧州航空各社に燃料供給逼迫の懸念
国際エネルギー機関(IEA)のファティ・ビロル事務局長は、欧州の航空会社が6週間以内にジェット燃料の供給不足に陥る可能性があると警告した。供給が細る中で運航を維持することが難しくなり、乗客にとっては便数の削減や航空券価格の上昇といった影響が広がる見通しである。
既に複数の航空会社は、夏季休暇シーズンを前にした運航スケジュールの見直しに着手している。先行きの燃料需給の不確実性を踏まえ、先制的に減便や路線調整を進めることで、繁忙期の混乱を最小限に抑えたい考えとみられる。欧州の航空業界はコロナ禍からの需要回復局面にあるだけに、今回の燃料事情は回復ペースにも影を落としかねない。
一方で、欧州の当局者は各国政府に対し、ウクライナ情勢への関与を継続するよう促している。現下のエネルギー危機を背景に対応を後退させれば、結果としてロシア経済を利することになりかねないとの懸念が背景にある。エネルギー安全保障とウクライナ支援の両立をいかに図るかは、欧州各国にとって引き続き重い政策課題となる。
燃料ショックが経済と地政学の双方に波及しつつあるなか、欧州は航空・物流の安定確保と外交的立場の維持という多面的な対応を迫られている。今後は各国政府と業界の連携、代替燃料の調達策、備蓄の取り扱いなどが焦点になるとみられる。