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シンガポールのレンチ病院(Ren Ci Hospital)が、認知症患者の「自分らしさ」を取り戻すことを目的としたプログラム「Re2ignite」を展開している。
同プログラムは3人の医療ソーシャルワーカーによって運営されており、音楽・食べ物・画像・感覚的な活動を組み合わせることで、認知症を患う人々の失われた記憶を呼び起こし、自己とのつながりを回復させることを目指している。
具体的には、懐かしいメロディーや、幼少期に家族が作ってくれた料理の味と香りなどが、言葉では想起できない記憶を引き出す手がかりとなる。昔の写真や思い出の地域の映像といった視覚的な刺激も、患者が自身の人生とのつながりを感じる助けになるとされている。
認知症は進行性の疾患であり、現時点では治療法が限定的である。そのため、単に症状を管理するだけでなく、患者の尊厳とアイデンティティを守りながら生活の質を向上させるアプローチの重要性が改めて指摘されている。
レンチ病院の取り組みは、認知症患者との向き合い方を見つめ直す一つの事例として注目を集めている。病気によって記憶が失われたとしても、その人自身のアイデンティティは消えないという考え方が、ケアの現場に広がりつつある。