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米タフツ大学(Tufts University)のシニアフェロー、ドナルド・ヘフリン(Donald Heflin)氏は、イランがホルムズ海峡の支配を通じて、核兵器に頼らずとも地政学的な影響力を行使し得るとの見方を示した。
ホルムズ海峡は、ペルシャ湾と外洋を結ぶ戦略上きわめて重要な海路である。世界の石油・天然ガス供給の大部分がこの海峡を通過しており、国際エネルギー市場にとって不可欠な要衝とされている。イランはこの海峡に面した地理的優位性を有しており、有事の際に海上交通へ影響を及ぼす能力を持つと広く認識されてきた。
ヘフリン氏の分析は、イランにとってホルムズ海峡の支配力そのものが「天然の抑止力」として機能し得るという点に着目したものである。核兵器の開発・保有がなくとも、エネルギー供給網に対する影響力を背景に、地域における交渉力を維持できるとの指摘といえる。
イランの核開発プログラムは長年にわたり国際社会の懸念の対象となってきた。一方で、同国が保有するホルムズ海峡という地政学的資産の重要性は、核問題とは異なる文脈で中東地域の安全保障構図に影響を与え続けている。
こうした分析は、イランをめぐる安全保障上の議論が核開発の問題に限定されるものではなく、エネルギー安全保障や海上交通路の確保といった、より広範な視点からの検討が求められることを改めて示すものといえる。