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米国議会は、外国情報監視法(FISA:Foreign Intelligence Surveillance Act)に基づく監視権限を一時的に延長することを決定した。この措置により、米国の情報機関が令状なしで市民のデータを収集できる状態が引き続き維持されることとなる。
FISAは1970年代後半、外国の諜報活動による脅威に対処するために制定された法律である。しかし、2001年の同時多発テロ事件以降、反テロ対策の名目のもとで適用範囲が段階的に拡大されてきた。現在では、市民の電話記録やメールのメタデータ、インターネット通信といった個人情報の大規模な収集を可能にする仕組みとなっている。こうした運用に対しては、民間の人権擁護団体や野党議員を中心に「合衆国憲法修正第4条が保障するプライバシー権に抵触する」との批判が長年にわたり続いてきた。
今回の延長は、現行の監視権限をそのまま継続させる暫定的な措置であり、恒久的な法整備や制度の見直しを伴うものではない。電子フロンティア財団(EFF:Electronic Frontier Foundation)をはじめとする複数の人権団体は、この延長に反対する声明を発表し、より厳格なプライバシー保護のための立法措置を求めている。
権限の濫用防止とテロ対策の均衡をいかに図るかは、米国議会にとって引き続き重要な課題である。今後の法改正論議のなかで、市民のプライバシー権と国家安全保障の関係をめぐる議論がさらに深まることが見込まれる。