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インド、国民IDアプリのスマートフォン搭載義務化提案を撤回

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インド政府は、国民識別制度「アーダール(Aadhaar)」のモバイルアプリケーションをすべてのスマートフォンに搭載することを義務付ける提案を撤回した。市民からの反対意見を受けての判断とみられる。

アーダール制度は、指紋や虹彩などの生体認証情報に基づくインドの国民識別システムである。2009年の運用開始以来、政府サービスの利用やデジタル決済をはじめとする幅広い場面で活用が進められてきた。

しかし、同アプリの強制搭載案に対しては、プライバシー保護への懸念や、政府による個人のデジタルデバイスへの過度な介入を問題視する声が市民の間で広がっていた。個人情報の管理方法や市民的自由をめぐる議論が活発化する中、政府はこうした懸念に応じる形で提案の撤回に至ったとみられる。

インドは近年、デジタルインフラの整備に積極的に取り組む一方、個人情報保護やプライバシーに関する法整備も並行して進めている。2023年には「デジタル個人データ保護法」が成立しており、データの取り扱いに対する社会的関心は高まりを見せている。

今回の決定は、デジタル推進と市民のプライバシー保護との均衡を模索するインド政府の姿勢を示すものといえる。デジタル化の恩恵を広く届けつつ、個人の権利をどのように守るかという課題は、インドに限らず多くの国が直面している論点でもある。