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自動車用ガラスの世界的メーカーであるフーヤオグラス(Fuyao Glass)の創業者・曹徳旺(ツァオ・ドゥワン)会長が、株主総会において米国事業からの撤退の可能性に言及しました。中米間の貿易摩擦や関税の引き上げによって経営が著しく悪化した場合、米国工場の閉鎖も選択肢に含まれるとの見解を示したものです。
同社は中国・福建省に本社を置き、世界各地で自動車用ガラスを製造しています。米国オハイオ州の工場は、アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を受賞した映画『アメリカン・ファクトリー』(2019年)の舞台となったことでも広く知られています。同作品では、中国企業が米国の地域社会で工場を運営する過程で生じる文化的な摩擦や労働環境の課題が描かれ、大きな反響を呼びました。
曹会長は株主総会の場で「損失を伴う事業には関与しない」という経営原則をあらためて示し、地政学的リスクが収益を圧迫する局面では撤退を躊躇しない姿勢を明確にしました。中米間では近年、関税の応酬や技術規制の強化が続いており、中国に本社を置きながら米国で製造拠点を維持する企業にとって、事業継続の判断が一段と難しくなっています。
グローバルな製造業において、保護主義的な通商政策や地政学的緊張が個別企業の経営判断に直接影響を及ぼす事例として、今回の発言は注目に値します。今後の中米間の通商交渉の行方が、同社の意思決定を大きく左右することになりそうです。