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米国とイランの間で緊張が続く中、世界有数のエネルギー輸送の要衝であるホルムズ海峡の海運に対する懸念が高まっている。こうした情勢を背景に、東アジアとヨーロッパを結ぶ代替物流ルートとして「中回廊(Middle Corridor)」が改めて注目を集めている。
中回廊は、正式には「トランスカスピ国際輸送ルート」と呼ばれ、中国からカザフスタン、カスピ海を経由し、アゼルバイジャン、ジョージア、トルコを通じてヨーロッパへと至る多地域型の物流ネットワークである。ホルムズ海峡を経由しないため、同海峡の封鎖や航行制限といったリスクを回避できる点が大きな利点とされる。
ホルムズ海峡は、世界の石油輸送量の相当な割合が通過する海上交通の要衝であり、同海峡の機能が損なわれた場合、グローバルなサプライチェーンへの影響は甚大なものとなる。エネルギー資源だけでなく、製造業の部品供給や食料流通にも波及する可能性が指摘されている。
中回廊の戦略的重要性については、カザフスタンのナザルバエフ大学のワカル・アハマド学長をはじめ、関係各国の有識者からも言及が相次いでいる。同ルートの輸送能力を拡充するためのインフラ整備や国際的な連携強化が今後の課題となる見通しである。
一方で、中回廊にはカスピ海の横断を伴う積み替えの手間や、沿線各国の通関手続きの統一といった実務上の課題も残されている。代替ルートとしての実効性を高めるには、関係国間のさらなる協力が求められる。