元記事公開:
「数学のワールドカップ」とも称される国際的な数学カンファレンスについて、今年の米国開催を別の国へ移すよう求める請願とボイコットの呼びかけが広がっている。
トロント大学(University of Toronto)の数学者イラ・ヴァルマ(Ila Varma)氏ら共同主催者は、このボイコット運動の行方が、特に中国の数学者コミュニティの動向にかかっていると指摘している。ヴァルマ氏によれば、中国は「ユニークに対応できる立場にある」という。米国による科学技術分野の規制・制限の対象国である一方、世界有数の科学大国でもあるためだ。
とりわけ注目されているのは、米中間の制裁の非対称性である。米国政府は、中国政府が米国の大学に対して課しているほどの経済制裁を実施していないとされ、この構造が中国側のボイコット参加を促す環境を生んでいるとみられている。
数学は基礎科学の中核をなす分野であり、国境を越えた研究者間のネットワークが学問の発展に欠かせない。今回の動きの背景には、米国による各種制限の強化と、それに対する国際的な科学コミュニティの懸念がある。開催国の変更を求める声が高まっていることは、米中間の科学技術をめぐる緊張の深刻化を象徴する出来事といえる。
今後、中国の数学者コミュニティがどのような判断を示すかが、カンファレンスの開催形態に大きな影響を与える可能性がある。動向を引き続き注視していく。