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インドの大手銀行HDFC銀行(HDFC Bank)は、決済やサービス取引の97%がデジタルチャネル経由で行われていることを明らかにした。スマートフォンやオンラインバンキングの利用が急速に広がる同国にあって、圧倒的多数の取引がすでに非対面で完結している計算になる。
しかし同行は、こうしたデジタル化の進展と並行して、全国に約9,700の支店ネットワークを展開・拡大し続けている。一見すると矛盾するようにも映る二つの戦略が、なぜ両立しているのか。
背景には、インド国内の多様な顧客層の存在がある。デジタル取引の普及は都市部の比較的若い層や高所得層に集中しており、農村部や高齢者層では従来の窓口サービスへの需要が依然として根強い。複雑な金融商品の相談や大口の現金取引など、対面でなければ対応が難しい業務も少なくない。
また、インドでは政府主導の金融包摂政策が進められており、銀行口座を持たない層へのアクセス拡大が社会的な課題となっている。HDFC銀行が物理的な拠点を増やし続けるのは、こうした層への接点を確保する狙いもあるとみられる。
同行の経営判断は、デジタルと対面の両チャネルを戦略的に組み合わせるものといえる。都市部ではデジタルサービスの利便性を高めつつ、地方では支店を通じた対面サービスで顧客基盤を広げる。技術導入と物理拠点の拡充を同時に進めることで、全国規模での金融サービスの提供体制を築こうとしている。