元記事公開:
シンガポールのビビアン・バラクリシュナン(Vivian Balakrishnan)外務大臣は、欧州連合(EU)と東南アジア諸国連合(ASEAN)に対し、多国間主義の強化を呼びかけた。世界的に自由貿易体制が揺らぎ、保護主義的な政策へ傾く動きが各国で広がっていることを背景とした発言である。
バラクリシュナン外相は、国際的な通商秩序が分裂の危機に直面しているとの認識を示したうえで、EUとASEANが協調して多国間の枠組みを守ることの重要性を強調した。また、シンガポールが引き続き信頼される国際ビジネスハブとしての地位を維持するためには、こうした多国間協力の基盤が不可欠であるとの考えを述べている。
シンガポールはアジア太平洋地域の要衝に位置し、国際貿易・投資の中継拠点として長年にわたり重要な役割を果たしてきた。しかし近年、大国間の地政学的対立が深まるなかで、中立的な立場を保ちながら経済的なハブ機能を維持することが難しくなりつつある。
今回の発言は、自由貿易体制の維持がシンガポール一国の課題にとどまらず、EU・ASEANを含む広範な地域にとっての共通課題であるとの認識を改めて示すものといえる。今後、これらの地域がどの程度まで結束し、多国間の協調を具体的な政策として進められるかが注目される。